ハワイアンシャツのコレクターが見たら黙殺するような物です。アメリカはJCペニー社の製品で、50年代終わりから60年代はじめ頃のものでしょうか。
Made in Japanという点や、小さく芯やステッチまで入った衿、そしてとどめは格調の無い地色+危険な和柄という組み合わせ、それらすべての要素がネガティブなオーラを発しています。

でも、ずっと気になっていました、このシャツが。
日本に住んでいた頃、知り合いの古着屋で同じタイプで赤い色の物を見て、“下品なシャツ”と思いつつもどこか惹かれていたのが原体験です。
あれから過ぎ去った年月の間に黄色や白も見たことがあるような気もするし、はっきりと覚えていませんが違った和柄のバリエーションも確認しました。

これらアメリカ向け輸出衣料は、可能性としては日本のアロハシャツのルーツ(日活、新東宝系)と言えなくもない? そう言えば昔はそのテの洋品店の夏の店先にアロハシャツは定番でしたよね。

でもこの鷲と松、そして妙にアジアなターコイズ調のバックグラウンド色の粗っぽい組み合わせに惹かれますね。昭和の匂いというか……。若い頃の尾崎紀世彦ならばスターの貫禄で白いパンツに合わせてさらっと着こなしていそうな感じです。(オオフチ)