カーハートは、ワークウエアのメジャーブランドのひとつとして現役で活躍中なので一般的に馴染みがありますが、1800年代の終わりから続くその長い歴史の中で、ブランドのイメージは徐々に変化していきました。

個人的にはCAR=汽車とHART→HEART(心)を掛けたロゴマークが示すように、レイルロード系のワーカーをそのメインターゲットとしていた時代が良質なビンテージの収穫期(?)と重なり、濃厚なイメージとなっています。

また、(私見になりますが)ある時期のカーハートのカバーオールジャケットを着るとほぼ毎回感じるのは、その個性的な着心地。うまく説明できませんが、まずシンプルかつ味わいのあるビジュアルに惹かれ、そして着てみるとどこかしっくりとこない“個性”が確実にあります。その結果“馴染ませたい”という不思議なモチベーションを喚起する力を持っています。

仕事で服を作っているのでよりはっきりと感じるのかもしれませんが、必ずしも文句の付けどころのない服に愛着が湧くとは限らず、ふと気付けば美点の中にどこか課題のあるような服に惹かれていたりするからおもしろいんですよね。ほんと、単なる我がままなのかも知れませんが、身体は正直なんでしょうね。(オオフチ)