新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します!

 

昨年末、25FWサンプルの準備をしている中、以前ブログで紹介した2022年のリミテッド・リリースでオクラ(ボツ)にしたアイテムたちがふと気になって、再びチェックしてみました・・・

 

玉虫色のフレンチ(バーバリー)・ツイル・・・

ブルーデニム x ブラック・ステッチ・・・

これらのジャケットの元ネタは、ご存じ第二次大戦時のUSMC / USNのカバーオール = ファティーグジャケットで、当時使用された素材はカーキ〜オリーブ色のHBT(=herringbone twill)でしたが、リミテッド・リリースではPost O’Allsらしい素材でプレゼンする予定でした。今見ると、全体に力の抜けたリラックスしたムードが良いですね・・・

 

襟は、とてもプレーン・・・

胸ポケットは、左のみ・・・形はアメリカでは1930年代くらいから広まったトレンドの一つと言える丸っこいポケット・・・

下ポケット・・・これらも丸っこい・・・

とても平凡な、しかしどこかラペルド・ジャケット(テイラードのような襟を持つジャケット)寄りなポケット・レイアウト・・・

非常に簡素・・・しかしドレッシーにも見えるシンプルなカフス・・・

バックは2ピース・・・に変更しましたが、オリジナルの古着はワンピース・・・

どこから見ても、プレーン・・・でも、このジャケットの狙い?は、シンプルな3つポケットですがフロントのボタン配置をラペルド・ジャケットのように第一と第二ボタンの間隔を広げているところが、1940年代に向かった新しいトレンド・・・そんな感じを取り入れつつ、全体をややドレッシーで当時の目でスタイリッシュに見えるように仕上げている・・・そんな、第二次大戦頃の時代のファッショントレンドを盛り込んだ、世界に誇るアメリカ軍人として戦意高揚するようなプライドをくすぐるデザインとなっているんですね・・・これでボディの脇をもう少し絞って襟を大きくしたら、当時流行り始めたレジャージャケット(テーラードとワークジャケットの中間のようなハリウッド・スタイル)のよう・・・

 

Post O’Allsでは、通常はそのように時代性を多めに出したデザインはあまり採用しません・・・そのココロは、私の主観になりますが、時代性を取り入れれば入れるほどその時にはカッコよく映りますが大抵の場合は流行が変わるとその分古臭く見える、という相反するデメリットがあり、それはブランドのポリシーの一つである、(長持ちするデザイン)に反するからなんですね・・・ま、MATTALINI 2のように逆にそのメリットを活かしつつフュージョンさせたという例外もあるのですが・・・

とは言え、私はこのモデルのオリジナルであるUSMCのビンテージが好きで、ブランドを始める前から着ており・・・ほぼ同じデザインのUSN物も好きで、両方ともよく着ていました。USMC(海兵隊)バージョンとUSN(海軍)バージョンは、パッと見は似ていますが型紙から素材〜付属まで違う、なかなかの別物。個人的にはUSNの方が型紙も含め着た感じは好きでしたが、生地とかステッチ、ボタンなどが醸し出す全体のムードはUSMCの方がインパクトあり?・・・言い換えれば、色々なコーディネートを楽しめるのはUSNで、コーディネートの主役になるのがUSMC・・・そんなイメージでした。このサンプルは、型紙的にクセの強いUSMCバージョンをベースにしていますが、その理由はデニム生地の耳を前立て裏に使いたかったからだと思います・・・

これらのジャケットは、2022年のLimited Release Vol.1のMilitary Khakis Remixed、もしくはVol.2のMilitary Dungarees Remixed用に作ったサンプルだと思いますが、ボツにした理由はラインナップの中に他に似たような候補があり、2型同時に出すのは微妙?・・・ということで最終的にもう一つの候補の方に決定した、ということだったと思います。その理由は、恐らく他のブランドとカブることが無いだろう、という感じだったと思います・・・

 

こちらが、もう一つの候補・・・ベースは同じUSMCものですが、第二次大戦以前のさらに古いバージョンになります・・・

このジャケットのオリジナルはHBTではなくデニム素材で、昔からアメリカのミリタリー・コレクターにもその存在すら知られていないくらいのレア・モデル・・・しかも、ただ珍しいだけではなくてオーバーサイズで着た感じがプリミティブでカッコいいんですね・・・

 

こうやって並べてみると、このふたつのジャケットのムードは別物・・・・・共通点は3ポケットということくらい?・・・

古いバージョンは型紙及びフィットがとてもクラシック・・・身幅に対して着丈が短く、ポケットやカフスの感じも違います・・・・・

私が最も好きなポイントは、一番下のボタンから裾までの間隔・・・・・

現代の目で見ると、長過ぎ?・・・ボタンを付け忘れた?くらいに間延びして見えますが、私が苦手なものの一つが一番下のボタンと裾までの間隔が短いシャツやカバーオール(笑)なので・・・

 

このモデルは、15年くらい前にGENERAL RESEARCHの小林さんとの共同企画であったNAVAL RESEARCHやPRISONER RESEARCHで提案させて頂いた後、数年前に先ほどのリミテッド・リリース用に新たな型紙でリイシューしました・・・

 

最近は、Post O’Alls的にもこのような着丈短めで身幅のあるアウターを再び提案しており・・・このモデルも、そのうちまた出してみようかな、なんて・・・

 

で、先ほどのオクラにしたバージョンも、そのうち?・・・少し調整するとバギーパンツにも合いそう?・・・

 

かくして、2025年も進んでいきます・・・

 

(オオフチ)