デッドストックの頃
昔、デッドストックを探していた頃は、どこかへ行って何か見つけるとついつい自分のサイズを先に探してしまう。そしてラッキーにも自分のサイズが出てくると、とりあえず凄くうれしかった。
見つけた服をすぐに洗って着たり、また昔のワーカーのようにナマのまましばらく着てから洗ってみたり。
同じメーカーの同じ物、同じサイズでも一枚一枚の仕上がりやフィットまで違ったりするので、とりあえず着てみないとわからないからおもしろい。
ふとした瞬間に、着ている服を見つけた店の様子が頭に浮かんだりする。古い店が多かったので、店構えや内装、什器のデザインやディスプレイの仕方など、フリースタイルで個性的な店も多かった。地域によってスタイルや様式も様々なので、写真を撮っておいたらよかったと思う。残念だ。
‘80年代、ケミカルなアシッドウォッシュが全盛の時代に、東洋人がナマの501やデッドストックのカバーオールなんかを着て田舎に探しに行くと相当浮いてしまうことも多かった。ニューヨークから来たと言っても“冗談でしょ”と全然信じてくれなかったり。
ポケットが多く便利だからと、ホルスター付きのサバイバルベストをジャケットの上に羽織っていたら、“拳銃を持った怪しい東洋人がいる”とカレッジリングを捜しに入った宝石屋の店員が警察に通報して、田舎道でパトカーに挟み撃ちにあったこともあった。
などと、デッドストックの服に付いていたフラッシャーを出していたら、いろいろなことが次から次へと頭に浮かんできましたよ。(オオフチ)