部屋の片隅を整理していたら懐かしい雑誌がでてきました。80年代後半、ニューヨークを拠点に発行していた『SPLUSH』という月刊誌です。

今もあるかはわかりませんが、雑誌社、ギャラリー、ミュージアム、エージェンシーにはドロップ・オフ・デーという自分を売り込める日がありました。その日の時間内にポートフォリオを預け、翌日ピックアップに行く。そんな内容です。

フォトグラファーを目指している人たちが多いかどうかは、時間ギリギリのフロントに預けてあるポートフォリオの数で分かります。

翌日フロントで名前を告げると、デスクの後ろにあるポートフォリオの中から“Thank you”と手渡されます。大概、中にはエディターからの意見が書いてある紙が入っています。それを読むのが習慣的になっていました。

『SPLUSH』でも同じく、フロントで名前を告げるとポートフォリオがありませんでした。フロントの人が内線電話をかけ、「エディターが会いたいとのことなので中へ」と言われました。初めてなので緊張はしています。チーフエディターとファッションエディターの2人に会い、「君の写真を是非使いたい。この2枚から選びたいのでしばらく預けてくれないか?」と言われました。 もちろんYES!

当時よく撮っていたのは風景を入れた人物写真。選んだ2枚は共にイスラエルでユダヤ人をピンボケで撮ったものでした。今見ると、暗室作業を始めて間もないということがすぐわかるプリント。よく恥ずかしくなく人様に見てもらおうと思ったと感心しています。

雑誌が送られペラペラめくる前に自分の写真がでていました。見開き部分です。どのように使いたいか聞いたわけでもないので、これにはビックリでした。自分の名前とメープルソープの名前が並んでいることにもビックリです。初めての雑誌の仕事でした。

新年のせいなのか、出てきた雑誌のせいなのか、“初心”です。(カツ)