私は、アメリカはニューヨーク州立のF.I.T.( Fashion Institute of Technology =ファッション工科大学)の卒業生です。

専攻は、Production Management(生産管理)でした。

生産管理と言っても、卒論はアパレルメーカーと工場を作ってどのように経営、運営していくかを発表する、という経営者的な視点のものでした。

このような商品を、このような人たちにこのようなアイデアを介してこのくらいの数を売り、年間いくらの売り上げと利益を得る・・・

工場は、このようなものをこのような数作るために、このような種類のミシンが何台必要で、そのために合理的なレイアウトを研究し、どのくらいの電力や経費が実際にかかるのか・・・

そんな、文系と理系のアイデアをミックスしたようなちょっとハイブリッドなもの・・・要は、ファッションをビジネスとして成立させるための学科なんですね・・・

自分は、会社の経営よりもまずは服に興味があったので、なぜこのような学科を選んだのか?・・・

私は、そのころ20代の後半・・・すでに好きな服=アメリカン・ビンテージ=が決まっていましたが、当時のアメリカにはそんなものを教えてくれる学科・・・いや、ビンテージという概念すらまだありませんでした・・・

なので、代わりに私が知りたかったのは・・・自分の大好きな古き良きアメリカの服を作るために実際に必要な理論・・・と、当時はまだ生きていた業界のオールドタイマーの話・・・

というわけで、そんな学科では様々な授業がありましたが、中でもマーケティングの授業は個人的に興味のない内容でした・・・

ある材料に対して適切なリサーチをしてその結果を分析し、このような人たちにこのような商品をこのような値段及びタイミングで売る・・・ための、合理的なアイデアを考える・・・それが1980年代後半当時のマーケティング理論でした・・・

私は、そんな受け身なことをしても世の中のためにはならない・・・単に企業の利益と貪欲で悪趣味な消費者を作り出すだけの、やりがいの無い仕事だと思っていました・・・

私がやりたかったことは・・・まずは自分を磨き、その自分が良いと思うものを消費者に理解させて売り込んでいく、という能動的で計画的なこと・・・つまりマーケットを研究してマーケットに合わせた商品を作るのではなく、自分が良いと思うマーケットと顧客をクリエイトすること・・・

 

当時の私は、そんなことを考えていた青臭く生意気な20代でした(笑)・・・そして、その基本は今でもほぼ変わっていません(笑)。(オオフチ)