過去を振り返れば、Post O’Allsの服は生地選びに特徴がある事も多かったです。色々なアイテムに、ワークウエアには世間一般ではあまり使われていない生地を使用していました。カバーオールだけでもフリース、ツイード、メルトン、キャリコ、シャツ地、モールスキン、キャバリーツイル、ナイロンタフタ、キルティング…などなど、覚えきれないくらい様々な生地で展開してきました。

 

生地のチョイスが変わっている事も多かったのですが、生地の使い方が変わっている事もありました。例えば、コットンポプリンなどを無双で縫製したWシリーズ。無双というのは、和服の世界では表地と同じ生地で裏地をつけるというやり方ですが、Post O’Allsの場合は同じ生地を二重に重ねて、巻きミシンなどで通常と同様に(ライニング縫製ではなくて)縫製してしまう事です。

 

最初に出したのは、確か CRUZER-W。クルーザーのポプリンWプライのバージョンですね。

未洗いの状態では、ちょっとわかりにくいですが…

薄いコットンポプリンを2枚重ねて縫製しているので、シーム部分などにボリュームが出ているのがなんとなくわかるでしょうか。

ライニング縫製ではなく、このように2枚一緒に巻き込みます。

2006年当時のカタログから。

ここで当時のカタログ概要を読んでいてわかった事ですが、Wという仕様は前シーズンのPC4というジャケットが初めてのようでした。なるほど…確かにそうかもしれません(笑)。

これが PC4 になります。

写真では全然わかりませんが、このジッパージャケットは胸に斜めのジッパーポケットが付き、下側には極細のWウエルト付きの斜めポケットが左右に付きます。生地は綿ポリのポプリンのWプライという、当時としては難解なアイテムでした。その結果、オーダーはあまり付かなかったことを覚えています。

しかし、次のシーズンには懲りずに先ほどのクルーザーWをリリースして、インスタント・ヒットを出しました。そして、その次のシーズンからはさらに多岐なアイテムを展開していきました。

 

2回目のクルーザーW。前回はブラック、カーキ、ODでしたが、この時はブラック、カーキ、グレー、アイボリーというカラーウエイになっています。この時から、もともとケープが付く二重のバックにさらにもう1枚ポプリンを重ねて計3プライのバックになったようです。

同じ展示会の概要から。ダブル共和国…今読むと、やや気がふれているとしか思えません(笑)。

なるほどですね。では、他にどんなWアイテムを、この2006年秋冬にリリースしたかと言えば…

 

アーミーシャツ。有りましたね…そう言えば、私も気に入ってブラックとアイボリーのものを着ていました。

Wニーのペインター。フロントは計3プライになっています。

手元に実物がありました。私もブラックポプリンのものをはいていましたね。

5ポケット。同時に4型出しているところがイカれてますね。

イージーマスター。このパンツは一時期の定番でした。

これもクルーザーWですが、バージョン違い。

ポプリンよりも一段階薄いブロードクロスを使っているような気がします。

スイートベアー。

シャツは以前にも何型か出していましたが、これは最近のもので19FWのリリースです。かなり薄手のシャンブレーと白ブロードの2素材で展開しました。

Wの特徴は、パッカリングが多く、深く出ること。白いシャツの場合は、下に着たTシャツなどが透けないこと。見た目よりも暖かい、というのもメリットですね。ともあれ、パッと見でわかる人もいればわからない人もいますが、薄手に見えても存在感が別物なんですね。(オオフチ)