NYに戻ってきました。今回の帰国もさまざまなインスピレーションがありましたが、服とは関係なしでインパクト特大なものがありました。それは“酒ぶた”です。

昭和40年代前後に小学生だった人たちにとって忘れられない遊びのひとつに酒ぶたがあります。と言いたいところですが、一説によると酒ぶたは地域的な流行との説(人によっては関東地方だけの遊びという噂)もあり、その真相は不明。

酒ぶたとは主に一升瓶に付いていたメタル製のふたで、当時は酒屋の裏の空きビン置き場などから(無断で)もらってきました。そしてそのふたの裏についているコルク部分を取り外してコレクトしていました。

今ではふたの裏のコルクがビニール(?)に代わっていますが、私の頃はちょうど過渡期でビニールが出始めで、でもやはりコルクが人気でした。コルクのほうが手でパキッと取れるし(カッターなどで切りとる必要がない)、コルクに染み込んだ酒の香りもまた風流でした。

今回知り合ったT氏とは、古着の話から共通の友人の話、そして気がつけば酒ぶたの話で盛り上がっていました。実は数年前にいきなり酒ぶたのことを思い出して以来、人の話を聞いてみたいと思っていたのでやけに楽しかったですね。

彼は自分よりも学年で3~4級下で、まずは彼にとっては何がレアだったかを聞いてみました。というのも今まで話したことのある人達は、レアなブランドに関して地域により様々に意見の分かれるところであり、そこがまた興味深い点でもあるからです。

ちなみに彼の地元は東京の小平市で、自分の育った世田谷区とはちょっと離れていますが、それでも知っているブランドに関してはけっこう共通点がありましたね。当時は今と違って各地のマイナーブランドなどはあまり流通していなかったと思うので、地域性が出てきそうですよね。

私の覚えている範囲でレアものといえば「風林火山」、「和風」など。それ以外では有名ブランドの超特級もの(一般的に超特急→特急→一級→二級の順でレア)やブランドによってはミニ(主にみりんなどに使われた小瓶用の小判サイズの清酒版)も比較的レアでした。

うちの地元には幸運にも酒の空きビン専門の回収業者があり、そこには紐で束ねられた一升瓶のブロックが何メートルもの高さで積み上げられており、週のうちに何度も新しいビンたちが入荷してきました。そのビンの山によじ登って今まで見たこともないものを探すのが楽しくて、当時はほぼ毎日通っていました。そんな感じで、仲間内でレアもの自慢をしていましたね。

でも私はデザインにも結構ヤラれて、主に筆文字を使った、子供の目で見ても和的に古いイメージが新鮮でした(当時は最新の洋物が流行の時代)。材質や色、またデザインがプリントか浮き彫りかというのも大きなポイントで、子供心に和的なイメージは膨らみました。

当時集めていた皆さんと同様に、私の場合もコレクションはどこかにいってしまい、今では見ることは出来ません。はっきりいって今あったら凄く欲しいです。いや、ビンテージカバーオールのチェンジボタンよりも全然欲しいかもしれません。(オオフチ)