ちょっとしつこい感じですが、佳作とくれば名作、と流れてしまいました。

名作とは……、名作を思わせるオーラを持った一品。と、インスタントに定義してみましたが、そのココロは? う~ん、よくわからない。しかし遠からず、ということであしからず。

今回はULTIMA15という、アルミでできた灰皿。裏を見るとデンマーク製、そしてLJUNGBERG&BACKSTROMによるデザインと書いてある。ネットで検索してみると、1960年代当時としては珍しく、デザイナーがコンピューターを使ったデザインを試みていた。また現在はつくられていない、ということがわかった。

むかし、デッドストックや古着の買い付けをしていた頃、フリーマーケットやアンティークショーなどにもよく出かけていた。そんなときどこかで見つけ、ピピッときたのが最初だったと思う。灰皿のくせに、灰皿として使った様子がべつにいいわけでもなく、気が付くとたいていオブジェ化している。

デザインの年代的なイメージでいえば60~70s、フレーバーでいえばインダストリアル+モダン。でもそれだけではない、なにか独特な質感のあるデザイン。うまく説明できないけれど、ヨーロッパのクォリティとアメリカ的規格品フレーバーのちょうどいいブレンド具合や、どこかボーダーを超えたデザインが気になる。

ハイグレード~チープなもの、クールなデザイン~ウッディな感じまで、さまざまな年代やフレーバーとの相性もよさそうで、必要十分な存在感、さらに永遠が見えそうなデザインは一流の匂いがする。

デザインされたものは、おおむねデザインされた時代のクォリティでつくられるのが普通。一般に60sから70sは消費物品のクォリティがボトムまで低下していった時代で、残念ながらデザインに質感がついてこないものも多い。でもこのULTIMA15は時代の標準を超えたクォリティ。そして流行や様式を超えて感じるデザインを持っているため、昔も今も、そしてたぶんこれからも機能するのだと思う。

といいつつ、灰皿というアイテムは、今後世の中から無くなっていくばかりですよね?(オオフチ)