今回はOlderというよりもOldest, POST O’ALLS初年度の人気モデルのひとつであった#1501 No.1  Vestを紹介したいと思います。写真のものは1993年当時のデッドストックで、フラッシャーの品番は#2501となっていますが、最初の“2”は、当時はLined(裏付き)のバリエーションであることを意味しています。 

むかしも今もビンテージ、さらにワークというテーマでベストを考えると“これ”という決定版はなかなか思い当たりません。個人的にはビンテージというのははほとんどそんな感じで、それがまた見ぬ理想的なものを探す楽しさの原動力でもあるとも思っています。

それまで自分で着ていたビンテージのベストといえばハンティングやフィッシングなどのアウトドア物、ワークというよりも田舎の日常着であったBROWN’S社のBEACHもの、またミリタリーや鉄道員用、木こり用など、すべてが純粋にワークといって差し支えのないものではありませんでした。強いていえば’30s頃までのブルーデニムで出来たブランケットの裏付き、4パッチポケットでボタン止めのワークベストが思い当たるくらいです。

でも、個人的にそのデザインはそれほど惹かれるものではなかったし、かといって一般的な3ピースのスーツについてくるようなベストはうちで作る必要はない、とも思っていました。やはりPOST O’ALLSのラインには、オリジナルでワークなベストが欲しかったんですね。 

そんな状況下で生まれたのがこの#1501。’30s以前の古いスタイル&パターンのベストにどこから見てもワーク、やはり’30s以前の古いカバーオールに見られるような懐中時計用の変形ポケットをアレンジ、そしてそれを当たり前に低めにセットして誕生しました。当初はコットンキャンバスのシェルに、当時最新のマサチューセッツ州はMALDEN MILLS社のPOLAR FLEECEをライニングに使用しました。

このベストをデザインした1992年当時、世間でベストといえばVゾーンというか、フロントの開きが大きなタイプしか市場には無く、だからこのように旧式にネックラインの高いベストが作りたかった。いろいろな服をレイヤーしたときや、スカーフを巻いたときに生まれる微妙なネックラインの味をポイントのひとつにしたかった。

この#1501、ここ数年はリバイバルというかマイナーな変更を繰り返しながらも再びPOST O’ALLSのラインに不定期的に加えられ、そして今、来年の展示会に向けてさらにデザインをいじっています。このベストもそうですが、旧モデルの多くがデザインをし直してもオリジナルデザインに近いかたちに戻ってしまい、まるでタチの悪いループにはまっているかのようです。 

といいながら……、今回はなんとなく新たなバリエーションが加えられるような気がしています。そして他のオリジナルデザイン同様、そのうちそのようなデザインズバリの古着と巡り会えることがあるかもしれない、という気がし始めています。でも生産品が出来上がってしばらく着てみるまではなんともいえないところが、やはりほかけ舟なんでしょうね。(オオフチ)