いつ頃から、この手の生地を“ベタシャン”と呼ぶようになったのでしょうか・・・少なくとも、私が日本に住んでいた1980年代から、古着屋さんはそう呼んでいたような気がします。

当時のセレクトショップやインポート屋さんは、年代的にこの手の生地の存在すら知らなかったと思われますし、彼らが古着屋さんに出入りしていた印象もあまりないので、わかりません・・・

また、黒シャンという呼び方は比較的最近のような気がしますが、日本に住んでいなかったので、これもわかりません・・・ちなみに、アメリカの古いカタログでの表記や、ビンテージ関係の人々の間ではグレーコバート・・・と呼ばれていましたが、中にはブラックシャンブレー と呼ぶ人もいたような気もします。

ともあれ、ベタシャンは個人的にずっと好きな素材なのですが、ビンテージの場合厄介なことがあり・・・というのも、デッドストックのシャツやパンツを洗ってみたら、いきなり穴が開いたり裂けたりした経験が少なからずあるんですね。

グレーコバートに限らず、黒色系の染料で染められたデッドストックの服は、長い期間洗われずに保管されていると染料定着用のお酢のような成分が生地を侵してしまい、洗うと分解してしまうことが多々あるんですね・・・なので、お酢のような匂いのするデッドストック製品は要注意です。

で、最近は寒い日も多いせいか気分は春に向きがちで・・・このベタシャン?というかライトグレーコバートのものも、取り込んでしまいました。

このタイプのライトグレーコバートは、1940~50年代にジーンズメーカーとかワークウエアメーカーのカジュアルウエアラインでよく使われていた記憶が有ります。ブランドで言えば、リーバイスとかブルーベル・・・マイナーどころではライススティックなど・・・

通常のグレーコバートは、ほぼワークウエアのみに使われていたような印象ですが、このライトグレーコバートは、逆にワークウエアでは別注っぽいユニフォームとかで見かける以外は、あまり見かけないような気がします。

主にカジュアルウエア・・・アイテムで言えば、タックの入ったカジュアルパンツとか、3面ジャンパーとか・・・

それらのアイテムでは、古着でよく見るライトブルーのデニムのようなシリーズと共に、この手の明るいグレーのベタシャンもリリースされていたイメージ・・・手元には残っていませんが、この手のライトグレーコバートや、ライトグレー地に赤やブルーのネップが飛んだコバートの2タックのパンツなどを持っていましたね。

こうして並べてみると、当時ワークウエアとしてリリースされていても全然おかしくないようなムードです。特に年配の職工とか、責任あるポジションのワーカーとか向けに・・・でも、グレーコバートですらカバーオールやオーバーオールで見かけることはほとんどないのが現状ですよね。

グレーコバートのビンテージアイテムですぐに思いつくのは、チノパン型のワークパンツ・・・ワークシャツ・・・ジップアップのワークジャケットやキャップくらいでしょうか・・・よく考えると、不思議ですよね。個人的には、グレーコバートのカバーオールは最近着るカバーオールの中では登板回数トップ3に入るのですが(笑)。(オオフチ)