現存する唯一の木こり系ルーツのアメリカン・ブランドである、FILSON・・・・の、ベストの代表作である(あった)、クルーザーベスト。さっきネットで調べてびっくりしたのですが、もう作られていないんですね・・・ちょっと前まで作ってたんですが・・・。

ま、古着の名作で有名なアメリカの会社のほとんどは何度も売り買いされて、新オーナーは当然のことながら利益を追求するのが伝統・・・”古き良き何か”なんてほぼ残っていません。また、単にブランド名をライセンス契約で使ったり、パテントが切れた名前を新たに登録して商売をしている人も、フツーにいます。故に、”古き良きアメリカン・ブランド”というのは、ほぼ幻想・・・古着の名品をデザインしたデザイナーなんてとっくに他界しているでしょうし、もともとそれらの価値を見出したのは、アメリカ人ではなく我々日本人やヨーロピアン達。もちろん、FILSONだって何度もオーナーが変わっており、元は木こりや鉱夫相手のワークウエア・ブランドという出自ですが、今はほぼハンティングウエアとファッションウエアの中間、という方向にシフトさせています。有名なFILSONの革とワックスド・キャンバスのバッグ類は、1970年代にオーナーが変わった後にリリースされたもので、ビンテージの時代にはあのようなファッション用のバッグは作っていませんでした。

それは、ともかく・・・このクルーザーベストは、私が見た中では最も古いと思われるもの・・・詳しいことはわかりませんが、多分1900年代初頭頃のものだと思います。自分が着られないサイズながらキープしているのには、理由があります。それは、このネック周りのパターンが独特で、非常にクラシックなテーラードもののようだから。写真では分かりづらいですが、平らに置いても平らにならない立体的なパターンなんですね・・・

私は型紙を自分で引いていたので、良いビンテージ服の独特で美しいパターンを見るのが大好きでした。なので、このベストは非常に魅力的なんですね・・・現代の服とビンテージの服は何が違う、と言えばまずパターンが全く違うんですよ。

デザインやディテールを再現するのは誰でも出来ますが、独特なパターンやムードを再現するのは、至難の技。

私が尊敬するアメリカ人デザイナーであるRLでさえ、その辺は・・・・

おっと、歳をとると独り言が多くなるようで(笑)。(オオフチ)