洋服の全体の雰囲気を決定するのは第一にデザイン=パターンだと私は思っていますが、その次というか、それに次いで必要不可欠なのは、
デザインを立体的に表現する縫製行程とそれに必要なミシン、そしてそれを操る人ですかね。
私はアメリカの古着などに見られる仕上がりの雰囲気が凄く好きですが、でも古着だからすべて良しなわけでもなく、自分好みの雰囲気というのがあるんでしょうね。
それは時に細かい、理不尽な(?)ディテールだったりもします・・・。

これは#1102 Engineers’ Jacketのエンジニア・カフスの部分ですが・・・。

アップで見るとわかると思いますが、トリプルステッチがバータック(カンぬき/カン留め)を超えてある程度いったところで止まっています。
というよりも実際はトリプルステッチを終わらせた、そのけっこう手前にバータックを打っています。
通常、特に現代の服であればバータックのところ(開口部)までトリプルステッチをほどいたり、または大体バータックのあたりまででトリプルステッチを終わらせます。
そうしないと、この場合はカフスが十分に開かない。しかし・・・、POSTの場合はけっこうバータックを通り越します。
そして通り越した部分を掃除しません。
なぜか? それがカッコいいと思っているからです。デザインの一部だからです。

これはMATTALINIやその他に見かけるカフス。

ちょっと見にくいですが、やはり同じ理由でバータックの先までチェーンステッチが走っています。

これはMENPOLINIショーツのフロントポケット部。

この場合も(開口部下側)、やはり・・・。実際に履いてると少しずつほどけてくるんですが、私はあまり気にしません。
たまに自分でほどくこともありますが(笑)、でもそれをするのはパンツやショーツのフロントポケット、それもパッチでない場合ですかね。
ん?ARMY SHIRTのフロントのパッチポケットもほどいたことがあるような気が・・・。まあ、とりあえず開口部の下側はほどく事もある、ということですかね。

(オオフチ)

P.S. 今シーズンもなかなか面白い生地があります。このバスケット柄は、遠目には無地に見えますが・・・。

そばでみるとけっこう立体的。最近、立体的な生地も気になっています。