SWEETBEAR(スイートベアー)がデビューしたのは確か2007、8年頃。
個人的にはRoyal TravelerやWロガーパンツなどとセットアップで作られた、初期のヘリンボーンツイードのバージョンが印象に残っています。
もともとは#1102Engineers’ Jacketのようなラグランスリーブ&フル装備で、どこかもう少し引いた/ヌケた印象のモデルが欲しい、というのがスタートだったと思います。
その後、モデル名の由来であるSWEET-ORR及びBLACKBEAR製の、転がった左胸のウォッチポケット+ラグランスリーブという共通項を持つ戦前の名作2枚のディテールと、
定番#1102の基本フィットをフュージョンして完成しました。
オリジナルのSWEET-ORRの転がりポケットは素晴らしいビンテージですが、POST O’ALLS風に作るならば、台襟をもう少し細く直線的に、
チンスト付きで・・・、左胸ポケットはBLACKBEARタイプにしたら面白そう・・・、右胸ポケットは、同じ頃のSWEET-ORRのフラップ付きタイプのように長目な感じでetc…
と、そんな流れだったと思います。
写真のものは今春リリースの5オンス・デニムバージョンになります。

パッと見の印象は#1102とけっこう違います。ポケットやカフスなどのディテール、ポケットの配置&バランス、トリプルではなくWステッチ、
一味変えた変則的な色使いのステッチワーク、などによってフレーバーの違いが打ち出されています。

バックビュー。ネック下のラベルのステッチのみナチュラルで、それ以外はチャコールステッチとなっています。
今シーズンのバータックは久々にピュア・ホワイト。

BLACKBEARタイプの左胸ポケット。

前立て裏にPOST君。デッドストックにつき、無くなり次第変更になる予定です。
と、SWEETBEARも他のPOST O’ALLS同様、こんなビンテージがあればいいな、というナチュラルな流れでデザインされています。
しかし偶然ながら、これに似た仕様のSWEET-ORRのビンテージを古着屋の友人が見たことがあるらしい!です。
友人がアメリカの田舎町を買い付けでまわっている時、あるマーケットでポケットの転がった、古そうなSWEET-ORRのカバーオールを着ているお婆さんを見かけました。
さらによく見てみると、台襟にはチンスト、ボタンはかなり古いSWEET-ORRに見られるスペード型のチェンジ。
う〜ん・・・、大物ですね。
ちなみに通常出てくるSWEET-ORRの転がりポケットは、チンスト無しで高目の台襟、ボタンは丸型のチェンジが付いています。
サイズやコンディションもなかなかの一枚だったらしいのですが・・・、そのカバーオールは無くなった旦那さんの形見だそうで、こればっかりは譲ってもらえなかったらしいです・・・。
了解しました。
彼曰く、SWEET-ORRの転がりポケットでチンスト付きのものは、後にも先にもその一枚しか見た事がないそうです。もちろん私も見たことがありません。
イメージしてみると・・・、その年代のSWEET-ORRの素晴らしいデニムの質感(同時期のCan’t Bust ‘Emなどに匹敵する最高レベル)や、
丁寧かつラフないい感じの縫製(なかなか無いですよね)まで合わせると、かなりいい感じが想像できます。
う〜ん、深いというか・・・、今から100年後の古着好きが、そのSWEET-ORRとSWEETBEARを偶然一緒に見る機会があったら???となりそうですね。

(オオフチ)