私は…自分の好きな 往年のアメリカの服の味が出したくて、アメリカで服を作り始めました。

高度成長期に育ったからでしょうか…子供のころから基本、手作りっぽいものにはあまり興味がありませんでした。きれいにパッケージされた“製品”こそカッコ良くて、当時はそれらがオーガニックなものよりもお洒落に見えた?

というような、テキトーで主観的な話しと関係あるかどうかはわかりませんが、アメリカで大量に作ったからこそ出せた“味”というものがあり、往年の、まだ生産国だった頃のアメリカ製品にはその“味”が脈々と息づいています。

しかしそのオーラが強力なのは、アメリカが後ろを振り返る事なく突き進んでいった1970年代くらいまで。そしてそのころのデイリーユースな製品のクォリティは、史上最底なレベル…というのは古着などを見てもわかる事実ですが。

当時はまだすべてにおいてアメリカが世界をリードしていた感があったし、アメリカ国民もそう信じていた?…当時のWESTINGHOUSEの巨大なうぐいす色の2ドア冷蔵庫のスケール感から比べたら、国産品のなんと地味な事…。

と、大量生産だからなんでもいいわけでもなく、マシンメイドの良さにいい感じを添えるのが手作りの“味”。1920〜30年代の製品に魅力的な物が多いのは、そのさじ加減のマジックによるもの。こればっかりは簡単には作り出せません…。

しかし、例外もあり…“味”とはいえ、ヘタウマも度が過ぎるともはや芸術品の域。

むかしは気になって糸の掃除をしたりした事もありますが…最近はそんな気もさらさら起きず…。

と、独り言で恐縮ですが、それにしてもこのアーミーシャツ、ずば抜けてユルい縫製ですね。今までの経験では、なぜか黄色/ODステッチのものに特にユルいものが多いような気がするんですが…。
(オオフチ)