ストリームラインなライター、今回はZIPPOなどに代表されるフリップトップ(片手で開けられる開閉式の蓋付き)のバリエーションを紹介してみたいと思います。

1940年代、ARISTOCRAT。断面が丸みを帯びた二等辺三角形の特徴的なシェイプ。ダイナミックに太い立体的なリブがとてもストリームライン。 アメリカ製。

1940年代、STREAMLITER。おそらく上のARISTOCRATの後継モデルである、名前からしてズバリなストリームライター。その初期モデルとなるこちらは細めのリブとなっています。ともにブラスでなくスチール製のケース及びインサート(取り外し式のライターの機械部分)で、大戦中の物資統制下のものかと思われます。アメリカ製。

1940〜50年代、THORENS LUCKY。年代の割にはアナクロ気味な仕上がりですが、スイスものだからでしょうか?でもデザイン的にはまさに典型的とも言えるデコ〜ストリームライン。サイズ的にも小さく、現代の生活にも適合できそう。スイス製。

1940年代、BOWERS 。このモデルは1940年代の後半頃から作られていますが、年代によってディテールが少しずつ簡素化されていきます。写真の初期モデルは流線型なディテールがフル装備、ストリームライン全開な仕上りとなっています。アメリカ製。

1950年代、EVANS。EVANSはRONSONと並んで往年のアメリカを代表するライターメーカーでした。通常は時代を反映したエナメル多用のデコデコしたエレガントなモデルが多いのですが、このモデルはどこから見てもストリームラインな仕上がり。アメリカ製。

1940〜50年代、DRAGON 777。第二次大戦後〜1950年代の始め頃のものと思われる国産品。外観からは分かりませんが、インサートはZIPPOとは違ったカム(蓋の開閉装置)機構となっています。このサンプルはニッケルメッキがクラシックな印象で、潔くスカッとしたエンジンターンがいいですね。日本製。

1940〜50年代、GW。これも上と同じくZIPPO式でないインサートを持つ国産もの。クロスしたラインが混ざるエンジンターン。和物のエンジンターンは、このようにどことなく不良っぽいデザインのものが多く興味深いです。エンジンターンのルーツと思われる英国貴族的な テイストを目指さず、純粋にデザインとして捉えているところがいいですね。当時の国産ライターは主に東京の下町で作られていた、という歴史の匂いがプンプンする日本製。

1950〜60年代、PRIZ。年代の割には不自然にデコっぽいデザイン。当時の日本の、アメリカから様々なデザイン様式が一度に入ってきて混乱してしまっているような印象を受けるデザインですね。インサートはZIPPO式。日本製。

1963年、ZIPPO。通常このデザインは右下にモノグラムウインドウが付きますが、なぜかこの個体には入りません。そのおかげで、スリークでとてもストリームラインな印象となっています。アメリカ製。

2002年、ZIPPO。年代的には最近のものですが、なぜか当時のものよりもデコっぽいデザインとなっています。こういった今のデザイナーによる新解釈なデザインも面白いですよね。アメリカ製。

2004年、ZIPPO。これも最近のものですが、気になるデザイン・・・デコ?ストリームライン?エジプシャン?ジプシー?・・・よくわかりませんが、私的には同一線上の琴線に触れるデザインです。アメリカ製。

国産ビンテージライターに関して、おそらく唯一無二の参考書?だと思われます。
“国産オイルライターのすべて 毛塚尚利著”。著者自身が、現存していた当時のライターメーカーに取材して年代考証したそうです。お世話になっております。

(オオフチ)