今回は、前回まで紹介した’18S/Sアイテムのインスピレーションとなった元ネタをいくつか紹介してみたいと思います。


おなじみの第二次大戦〜のU.S.NAVYのデニム・ファティーグ・ジャケット。これが’12F/WにデビューしたNAVY-BLUの元ネタになります。オリジナルとの相違点は・・・まず、このモデルの特徴でもあるヘチマ襟。オリジナルは前立てからそのまま襟につながるショールカラーですが、NAVY-BLUでは前立ての上側の終わりで段差を付けて切り返しています。オリジナルは着用時に前立てがめくれると襟も一緒にめくれ、個人的にはその印象がやや派手/フェミニンと感じていたので、余分な返りの少ない設定に変更しています。また下2個のパッチポケットはオリジナルよりも外側にセットされ、サイドシームを跨いでいます。これはビンテージのU.S.NAVYものでも第一次大戦頃のムードを意識しており、よりレイドバック/大人な印象を目指しています。そしてポケットの生地を横取りにしているのもやはり古いNAVYものに見られるディテールですが、これにより見た目のソフトな違和感を作り、さらにその為にパッカリングが多めに出る為、シンプルなデザインの中で味わいを深める効果を担っています。また今回からフロントボタンの数を減らしたことも手伝い、ユル目なムードを加速させています。キャプションにもある通り、このモデルは個人的にはオーバーサイズで着るのが好みな為、’18S/Sからはサイズアップで展開します。


この1970年代頃のEDDIE BAUER製のベストが、Northwest(’12F/Wデビュー)の元ネタとなっています。オリジナルはサイドにリブがインサートされてフィット感/防寒性を高めていますが、Northwestではそのリブを排除、代わりにアジャスト可能なストラップ&ボタンを付けています。さらに左胸にジッパー付きのスラントポケットを追加、全てのスラッシュポケットは細いWウエルトで仕上げています。今回の’18S/Sものは春夏バージョンなので、モデル初の中綿なし仕様となっています。オリジナルのキャプションにもある通り、様々なレイヤリングのアイデアに対応できる仕上がりを目指しています。1993年からワークウェアに合わせるベストを追求し続ける、ブランドの今の気分を体現するモデルと言えます。


これは以前も紹介した(http://170times.jp/ny/archive/2015/08/usva.html)U.S.V.A.(退役軍人局)の1940年代頃〜のシャンブレーシャツで、個人的に着れるビンテージのシャンブレーシャツとしては最も好きなモデルでした。概要にもある通り、1990年代の後半に出たThe POSTの初代バージョンはこのシャツをベースとしています。オリジナルの投げやり気味(?)なポケットを1910〜20年代頃の1ポケットのワークシャツに見られるようなV型アウトパッチ付きに変更、そして全体に統一性の感じられない縫製仕様をPost O’Allsらしくまとめて完成したのが初代のThe POST。バージョン2はドングリ1ポケット、 今回、’18S/Sにリバイバルしたバージョン3はオリジナル同様のシンプルな1ポケット+全体の縫製仕様はさっぱりとした最近のPost O’Alls的なもの。バージョン4はバージョン1のポケット+同じくシンプルな縫製仕様の組み合わせ。ブランドのデビュー時から最初のシャツ品番である#1201 No.1 Shirtに始まり、歴史に埋もれた1ポケットのワークシャツを提案してきた、名実ともにPost O’Allsのシャツの歴史を体現するシャツとなっています。

これらの写真は、My V.S.O.P.という本からの引用となります。この本は、2011年にNEPENTHES NYで私にやらせて頂いた、同名のビンテージ古着のエキジビションの目録用に作ったものです。ちなみにMy V.S.O.P. というタイトルは、My Very Special Old Pieces = 私にとって特別な古い物のいくつか、という意味で使いました。
(オオフチ)

P.S.



‘18S/Sものではありませんが、 最近のPost O’Allsのバンダナの元ネタも一発。オリジナルは赤ですが、 うちはネービーXホワイトのテレコ2種で展開しています。