Post O`Allsの数あるカバーオールの中でも、異色な存在と言えるのが#1109になります。#1109は、1990年代中頃にリリースされた#1106というカバーオールと同時に発売された襟違いバージョンで、バナナカラージャケットと名付けられていました。この写真のものは当時のデッドストックになります。

スタンドカラーの前部分にバナナの様なカーブを持たせているところが、バナナカラーの所以です。その結果、通常の詰襟状のスタンドカラーほど力の入った印象にならないんですね。

全体のデザインはシンプルな角張った3ポケットのレイアウトで、ややフレンチ〜チャイナを意識しています。古着で言えばアメリカのワークウエアがヨーロッパのデザインから脱皮し、アメリカっぽいデザインが確立され始めた1910年代頃の雰囲気ですかね。

カフスの形状も、独特なカーブを持っています。

ボタンは、確か#1106/#1109のために作ったPost O`Alls初のブラックボタン。当時のカタログにBlack Trimと明記されているように、デニムなどのダークな生地にはブラックステッチを採用したので(これも初?)、よりシンプルに見えるブラックボタンを使いたかったのでしょう…と、今気がつきましたが、もしかするとドーナツボタン自体もこれらのモデルのために作ったのかもしれません…ブランドを始めた当初は、ポスト君のキャラクターが刻印されたシルバー色のボタンを使っていました…が、そのうちドーナツボタンも作りたいと思っていました。これらのモデルには、当時の私であれば恐らくドーナツボタンを使いたかったのだと推測出来ます。写真ではよく見えませんが、ボタンを留めるファスナー(日本で言うタック)にもブラックを使用していました…徹底していますね(笑)。

そして20SSシーズンにデビューするのが、#1109の改訂版であるこの#1109Rです。

アップデートした点は、全体のサイズ感と襟。襟は、当初オリジナルのバナナカラーを復活させるつもりでしたが、予定を変更…新バージョンは、Post O`Allsで言うDV襟にバナナカラーをフュージョンさせたものとなっています。古着でも、コックや食品系用のワークウエアなどで似た襟をたまに見かけますね。

ご存知の通り、Post O`Allsではここ10年以上、カバーオールなどで脱力バージョン=DVを出しています。

これが、DV襟になります。

DVを見/着慣れてしまうと、1990年代当時の#1109の脱力具合では物足りない…ので、現代の脱力感に見合った新たなカラーをセットしてみたんですね。以下、20SS展示会概要からの引用になります。

 

 

#1106R

今回復活となる#1106Rは、1993年から#1101〜#1102〜#1103と続いたカバーオールの流れの後、フランス的な着こなしを意識したモデルとして1990年代中頃に数年間のみリリースされました。シンプルなデザインながら、低めにセットされた胸ポケット、特徴的なカフスのデザイン、雰囲気のあるパターンなどが相まって独特の一体感を醸し出しています。当時の設定通り、カバーオールの新たな可能を秘めたモデルとなっています。

 

#1109R

#1106のバナナカラー(ユルめのスタンドカラー)バージョンとして、当時同時にデビューした#1109も今回復活させました。今バージョンは、バナナカラーをDV襟の上にセットする事により、さらにユルめなムードを目指しています。バナナカラー〜DVへと流れたPost O`Allsのユルめなカバーオールの歴史の、最後尾に位置するニューモデルとなっています。

 

 

ちなみに、これが当時の#1106になります。

襟はちょいフレンチっぽくも見える、カーブを描いた襟を真ん中で接ぐスプリットカラー。この一枚はインディゴキャンバスで、当時気に入ってよく着ていた事を覚えています。

20数年ぶりに復活する#1106Rと#1109R…久々に気分です。早く着てみたいですね。(オオフチ)