Post O’Allsが、カバーオールと共に長年力を入れているアウターがクルーザーです。ご存知の通り、クルーザーはロガージャケットと並んで木こり系に特化したワークウエアですが、Darius Kinseyなどの古い写真で見るアメリカ北西部の木こり達の着こなしには、ビジュアル的に気になるエッセンスが多く見受けられるんですね。うちのブランドが”〜オーバーオールズ”というブランド名を持ちながらも、カバーオール+オーバーオールという典型的なワーカーの着こなしに対する思い入れはあまり無い、というのも一つのファクターではありますが、ロガージャケットやクルーザー、カバーオールなどに5ポケットやロガーパンツを合わせる彼らの着こなしには特に惹かれるものがあるんですね。

 

気がつけばPost O’Allsのクルーザーの歴史は長く、2004年のデビューから今までに様々なバージョンや生地のバリエーションを出してきました。現段階では2017年のCruzer 8で一旦進化は止まっていますが、今後もリリースしていきたいと考えています。

 

今回紹介するのは、2005年にリリースされたクルーザー2のゴートスキン・バージョンです。ゴートスキンでクルーザーを出すのは、このモデルが最初でした。

ダークブラウンのゴートスキンを使用。古着の世界には多分存在しない…でもあったら良いだろう…という、今見てもPost O’Allsらしいアイデアだと思います。

台襟の無い、プレーンな襟。立てた時も良い感じです。

ポケットも含め、全体にビンテージFILSONをモチーフにデザインされていますが、本家には存在しないレイアウトになっています。

初代クルーザーとこのクルーザー2までは、バックのほぼ全面にFILSON同様のマップポケットを装備しています。このモデルはビンテージFILSON特有の撫で肩のパターンを再現する為に、1940年代からニューヨークで活躍、1950~60年代はSCHOTT社のエースデザイナー&パターンナーであったJIMという人にパターンの制作を依頼した事を覚えています。やはり服はパターンが命、ですね…。

ハギの無い1ピースのゴートスキンを2重に使用という、革製品ではあまり見られない採算を無視した仕様となっています。

2005年当時の展示会用カタログ。ウールリッチ製のウールメルトンやペンデルトン製のインディアン柄ウールなどと一緒にリリースされていました。

その時の展示会概要です。書いてある通り、ゴートスキンバージョンは当時の米軍の官給品であったA-2に使われていた、ミルスペック実物の革とライニングを使用しています。どのような経緯で入手したか…は、秘密です(笑)。

”独特な、ヘビーなセーターとジャケットとの中間と言える着心地”…わかったようなわからないような例えですが(笑)、撫で肩で前身の大きい独特なパターンが、他にあまり類を見ない魅力的な着心地の要だと思っていたわけですね。

 

現在、2020FW用に新たなゴートスキンのクルーザーをサンプリング中です!(オオフチ)