ヘンな服に対する興味の炎は消えない。
ヘンな服とは、デパートや街の流行の店では売っていない服です。それは、いわゆるツッパリ向けの服。

70年代前半、新小岩の井上ズボン店(実名)はその筋では粋で有名な店でした。まだサーファーとかが流行る前、街のファッションシーンは不良と、不良がかったトラッド系(=VAN)やコンチ系(=ヨーロピアン=傷だらけの天使のショーケン調)の服を着た人しかいませんでした。現代からは信じられないかもしれませんが、当時カッコに気を遣う人は不良っぽかったのです。多少言いすぎかもしれないがそれに近かった。

そんな状況下で見るツッパリのカッコは、今で言うヤンキー的なカテゴリーとは多少意味合いが違って、もう少しお洒落な存在だったと思います。その後時が経ち、バブルやらなんやらで時代のほうが変わったのだと思っています。

写真は前回日本に行ったときに、何十年ぶりかに井上ズボン店に行って、懐かしさで買い求めてしまった物たちです。本当は当時のデッドストックが欲しかったんですが、数年前の改装のときに処分してしまったそうです。

今回は手に入れられなかったけれど、やはりボンタンは深めのワンタック&Vカットで渋めの玉虫が粋だと思います。

当時、ここが他の店とまったく違って粋なセレクトであった理由は、空襲直前2週間前に向島から引っ越してきた二代目の粋なオヤジさんが自分で企画してメーカーに別注していたからだそうで、さすが、納得いきました。これらのアイテムは変装用として夜のNYで活躍しています。(オオフチ)