写真は何かの軍物関係書のコピーで、少し前MAYAKOVSKYに続いてY大先輩から最近いただいたものです。

写真の中で黒人兵士たちが着ているデニムスーツのパーカはUS NAVYのデニムパーカと呼ばれ、レアかつ詳細不明なアイテムです。軍の正規支給品では同デザインでコットンツイル素材(オフ白)のバージョンはありましたが、写真のようにブルーデニムのものはこれまで軍の資料や当時の着用写真なども出てこなかったため、実物は出てきてもその情報はもや(?)に包まれた状況でした。

脇の説明文を読んでみると、黒人兵士に見える人たちは「NAVY船に乗り組んでいるコックやベーカー(パン屋)、給仕などで、民間物と思われる(=軍支給品ではない)デニムの作業着を着て彼らも戦争に備えている(時は1942年)」といったことが書いてあります。ということは支給品のオフ白ツイルの上下をサンプルに、どこかのNAVYテーラーでつくった物なんでしょうか?

その文章を書いた人が誰なのか、またその信憑性自体もわかりませんが、私も民間物ではないかと思っていました。なぜそう思ったかと言えば、NAVYパーカをデッドストックで手に入れたことがあるからなんです。

日本に住んでいた頃、ある古着屋の社長さんが「大淵君以外で古いワークウエアを探しているのはYさんくらいだよ」と紹介してもらったのがY大先輩。そして知り合った後で分かったのですが、その店ではなく別の“社長”が経営していた古着屋で、デッドストックで2枚出たNAVYNパーカを買ったのが偶然にもY大先輩と私でした。

そのデッドのパーカを見てみると、フードのサイドに付くアジャストの綿テープに軍物らしからぬユダヤ系の民間会社名がはっきりとプリントされていました(ユーズドで出ると大抵消えていますよね)。そしてそれ以外には表記やラベル類が一切ないのも怪しいし、サイズ表示は支給品同様ジグザグステッチで書かれていますが、使われている糸がなぜかスパン糸(ポリ/コットン)というのも納得がいかない。そして全体に漂うオーラもどことなく軍物の匂いがしません。

そんなこんなで、軍物に詳しくない自分でもなんとなく“軍物じゃないでしょ”と思っていました。でも、この写真が本当に1942年だとすると、自分の持っていた物はもっと後につくられたものか(スパン糸使用=1960年代以降)、もしくは放出時にサイズだけ後で入れたか。使用されているデニム地に関して言えば、今まで見たことあるものはデッドのものも含め、古めに見積もっても50年代以降のものにしか見えません。う~ん、疑惑は残ります。

ともあれ、真相は歴史の中に埋もれています。個人的にはどちらでもOKなんですが。(オオフチ)