豚と軍艦
この半年くらい、映画をよく見ています。見ないときは全然見なくて、ここ数年は飛行機の中くらいでしか見ないことも多かった。
でも、今年に入り王家衛(Wong Kar Wai)をしばらく見て、そしてここのところは日本の友人がコピーして送ってくれた長門裕之×南田洋子の『豚と軍艦』(1961年/日活)にヤラれています。
気に入った映画があるとしばらくは毎日流しっぱなしにするクセがあり、『豚と軍艦』はけっこう長い間そんな感じでした。そのくらい、この映画のビジュアルは興味深い。
内容は、50年代の終わり~60年ころのヨコスカはドブ板通りおよび安浦近辺のGI向けの盛り場を舞台とした、若いチンピラヤクザと娘の物語。私の素人見ではロケをしている場面も多く、個人的に当時の風景もとても興味深い。少年の頃に日活の古い映画を見まくっていたことがあるんですが、これはなぜか見たことがなかったです。
ヨコスカ周辺の漁師町やその中にある貨物船が台所から見えるアパートや、当時のドブ板と安浦の風俗街やその裏町などなど、すべてのシーンの雰囲気が出来すぎているくらいにカッコいい。
南田洋子や他の女性のパーンとしたしゃべり方がまたすごくよく、日本を離れて長い私には、昔の記憶にある懐かしい感覚がよみがえってきました。
ファッション的には長門裕之のスカジャン+マンボカットの和製5ポケットをはじめ、とりたてて見るものはないですが、全体にヤクザ映画にありがちなわざとらしさが感じられないのがいいですね。
『豚と軍艦』はGIから見た日本というか、そんなビジュアルというのも新鮮なんでしょうね。この当時のヨコスカや横浜版BROOKLYN GANGのような写真集があればすごくいいだろう、と思うのはわたしだけでしょうか?(オオフチ)