久々にググッときました。WOOLRICHの20~30sのクルーザーです。もともと僕の友人がそのまた友人に売り、その辺りの近場をウロウロしたのち、数年経って僕のところにやってきました。彼の気が変わるのをずっと待ち、ほぼ忘れかけていたこの頃、いきなりオファーが来ました。“着るべき人に着てもらいたい”とのうれしいメッセージとともに、手放す気になったようです。

ワークウエア好きとしては、とりあえずは冬のアウターもビンテージなワークウエアでカバーしてみたい。ハンティングなどのスポーツやアウトドアもの、その他一般用も含めたウールのアウターももちろんいいけれど、ここはひとつ、ワークでいってみたい。そうなると自分的にはクルーザーしか残りません。アメリカ北西部を中心とした木こりの冬場のアウターとして君臨した歴史、カバーオールなどのワークウエアやそれ以外の服との相性も軽妙、そしてモデルとしても完成されている。

ご存知の通りクルーザーといえば、今でも作っているシアトルのFILSONが有名ですが、昔は様々なメーカーが様々なブランドで出していました。しかしビンテージ古着の常でどれも一長一短、なかなか自分にとっての決定版というのにはめぐり合えません。

それぞれに独特な持ち味があり、そこがまたビンテージのおもしろいところでもありますが、WOOLRICHでここまで古く、かつ良いクルーザーは今まで見たことがありません。そして自分にとっての最大のポイントは台襟のないチンスト付きの襟。

FILSONの同時期のチンスト付きのものは台襟が付いており、ウールものではその台襟の首に触れる部分に黒いコットンサテンを使っているものがほとんどです。しかしそのサテンの着古されて擦り切れた感じが僕的には鬼門なんですね。共地か、ボロくなってもいい感じの生地+縫製仕様ならばOKなんですが。

そんなわがままを一発で解決してくれたのがこのWOOLRICH。生地も通常のメルトンと違っていい感じに薄め&良質で、ボイルドウールに近い着心地が新しい。ポケットのデザインやレイアウト、そして各部の縫製仕様などもさりげない役者揃いで、とりあえず久々の大物でした。(オオフチ)

P.S. ワークウエアなどに多く見られるUNIONチケット。いままでいろいろな縫い付け方を見てきましたが、ここまで芸術的なのは初めて。ループの交差してる具合とか、すごいです。