日本に戻ってから一年くらいは、身の回りに余分な服や物が無い生活を送っていました。自分の服や物の大半は引越し荷物として別送しており、日本に到着後は倉庫で保管、その後去年の秋頃までに事務所を借りて荷受けする予定でした。しかし、事務所がすぐに決まらず・・・結局荷受け出来たのは、物件が決まってその後床工事が終わった今年の8月でした。

 

帰国の際に持ち帰った服は、取り急ぎ10〜11月くらいまでに着そうなもの=帰国前に着ていた春夏物+必要最低限の秋冬物・・・内容的には、うちの服をメインに古着が少々・・・基本、それだけで今年の8月まで過ごしました。

 

身軽な生活も悪くない・・・さっぱりとしなやかな気分というか、大げさに言えば諸々の呪縛から解放された感じ。ニューヨークにいたときは、長年のうちにたまった服や物に囲まれて暮らしていたので、その差は大きかったです。何かがリセットされた感じで、その時自分に必要なものが見えてくる感じが新鮮でした。

 

そして・・・古着のカバーオールが欲しくなりました。それも、デニム。持って帰った古着は、シーズン的にすぐ着そうなデニムのアーミーシャツと虫食いの心配なウール物くらいで、カバーオールは入っていなかったんですね。というわけで、日本の古着屋さんで探してみると、この一枚にヒットしました。

大戦中と思われる、2ポケットのカバーオール・・・に、細い台襟とチンストラップが付いています。

大戦モデルでは見た事のない第一ボタンと第二ボタンの接近したタイプ・・・通常、戦前ものでも古めのものに見られるディテールです。で、折り返し用のボタンのつくチンスト。これだとフロントは4つボタンではなくて6つになってしまいますが・・・戦時中の物資統制的にはオッケーなんでしょうか?

カフスは一つボタン。この、袖口から少し間を置いたところにボタンが付く感じはどこかのメーカーで見たことがあります・・・が、思い出せません。シンプルですが、印象的なディテール・・・好みです。

ポケットはごくシンプルな四角+逆ハの字バータック・・・これも好みです。

ボタンはスチールのリース(月桂樹)ボタンで、ツープロング(二つ足)ファスナーの付くタイプ。これがSCOVILなどの一つ足タイプになると、個人的な評価はぐっと下がります(笑)。

着丈はレイヤリングのし易い、長くも短くもなくちょうど良い感じ。私的な総合点としては、90点・・・生地がもう少し良くてバータックがステッチと同色かグリーン、パターン的にはネックがもう少し大きくて袖山が低ければ、100点です。でも、ここまで好みなカバーオールは、久々でした・・・まるでPost O`Allsのよう(笑)。ま、古着に完璧を求めること自体ナンセンスですが、このくらい好みだともう少し期待してしまいます。(オオフチ)